Suicaにはじまった交通系ICカードのモバイル化は,コロナ禍による非接触決済の普及を契機として,PASMOやICOCAにまで広がろうとしている。
首都圏・関西圏で盛り上がる交通系ICのモバイル化とは対照的に,中京圏代表の「マナカ」は未だにモバイル未対応のままだ。
そこで,交通系ICカードのモバイル化の現状とあわせて,マナカのモバイルサービス対応の可能性について考えてみた。
スマホでマナカは使えない
2022年2月現在は,スマートフォン(iPhone,android)を通じたマナカによる決済はできない。
また,マナカ独自のアプリや,他社クレジットカード対応もない。
マナカのアプリ・Apple payは「ない」
マナカのスマホへの対応を待ち望んでいる方も多いかもしれない(自分もそのひとりだ)が,
現状,マナカはApple PayやAndroidによるスマホ決済に対応していない。
また,マナカ独自のアプリもない。
マナカを利用するのであれば,交通局の窓口や自動券売機においてICカードを発行する必要がある。
クレジットカードも1社限定…
マナカは,オートチャージサービスに対応している。
しかし,現状として,利用できるのは「wellow card」との関連付けのみ。マナカは,楽天カードなど,他社カードは紐づけられない。
オートチャージサービスは、wellow card マナカ(ウィローカードマナカ)及びwellow card(ウィローカード)と関連付け(リンク設定)したマナカに対する名古屋市交通局のサービスです。名古屋市交通局以外のマナカ交通事業者等ではご利用いただけません。
オートチャージサービス|購入・チャージ|マナカ|名古屋市交通局
マナカをつかって,現金レス化するためには,wellow cardというカードをもう1枚作らなければならないわけだ。マナカ1枚のためだけに,新しくクレジットカードを作らなければならない,しかもそのカードをほかに使うわけでもない。
これでは,名古屋市営地下鉄のマナカチャージ機において,行列ができるのもしかたない。
他社カードのモバイル化は?
いまのところ,「Suica」と「PASMO」がモバイル化対応している。いずれも首都圏の交通系ICカードだが,名古屋でも使うことができる。
「モバイルSuica」が圧倒的
モバイル化した交通系ICカードといえば,「Suica」が最も有名だ。
交通系ICカードのモバイル化の先駆者的存在で,モバイルサービス自体は2006年に産声を上げた。
当初はAndroid端末が先行していたようだが,
2016年にiPhone 7からApple端末でもモバイルSuicaサービスが使えるようになった。
Apple Payは,レスポンスや使い勝手が非常にいい。また,物理的なカードを持ち歩かなくても,スマホ一台で済むという利便性の高さも素晴らしい。
そういうわけで私は,名古屋在住だがマナカの使用をやめ,モバイルSuicaへと移行した。特に不自由なく,現在まで来ている。
参考: さよならmanaca…名古屋民の『モバイルSuica』導入記
関東では「PASMO」がモバイル対応
私は名古屋在住で,Suica以外の交通系ICカードには疎いのだが,首都圏の交通系ICカード「PASMO」もモバイル化しているようだ。
PASMOは,2007年3月に首都圏でサービスを開始した,交通系ICカードだ。関東の私鉄・地下鉄・バス会社によりSuicaと同じよう開始された同サービスは,2016年3月時点で流通枚数3,000万枚を突破している。
PASMOのモバイルサービスは,2020年に,Android向けサービスが先行して始まった。
- 2020年3月 android向けサービス開始
- 2020年10月 Apple pay (iPhone)向けサービス開始
モバイルPASMOも,モバイルSuicaと同様,名古屋市民でも使える(詳しくは以下のページを参照)
*
ここまで紹介したSuicaもPASMOも,首都圏の交通系の会社が運営するサービスだ。
これらのサービスが,他社より先行してモバイル化しているのは,関東圏の公共交通機関による莫大な通勤需要のおかげだと思われる。これらの2サービスは,競い合うというよりは協力して,モバイル化を推進している。
参考: ~のりかえよう、モバイルへ~Suica と PASMO は、共同でモバイル化を推進しています!
底堅い需要があれば,モバイル化の経費をも上回る利益を上げられるというわけだ。
「ICOCA」もモバイル化予定!
Apple Payで使える交通系ICカードは,現在まで「モバイルSuica」一択だった。
しかし,2020年10月16日,
JR西日本が「モバイルICOCA」の導入を計画していることを発表した(サービス名: モバイルICOCAは仮称)。
「モバイル ICOCA(仮称)」の導入計画について」|JR西日本 News Release (2020年10月16日)
ICOCAは,JR西日本が発行する交通系ICカードだ。
同サービスが,モバイルSuicaと同じように,Apple Payに対応するかどうかは読み取れなかった。
上記の文面だと,JR西日本独自のアプリを作る可能性も排除できないが,iPhoneの場合はおそらくApple Payによるサービスになると考えられる。
そうなれば,Apple payで使えるJR系の交通系ICカードとしては,suica以外の選択肢ができることになる。
ICOCAはすでにクレカ紐づけ対応済み
ちなみにICOCAも,マナカと同様に,クレジットカードを紐づければ,現金なしでチャージできるようになっている。
マナカより優れている点として,紐づけるカードはクレジットカードなら何でもOKというところ。これは,電子決済派にはかなり嬉しい。なぜなら,チャージ時に現金が不要になるので,カード引き落としによる「半・電子決済」化ができるようになるからだ。
SMART ICOCAは現金なしで簡単にチャージができ、決済用カードがJ-WESTカードの場合「J-WESTポイント」が貯まる、便利でおトクなJR西日本のICカードです。J-WESTカード以外のクレジットカードも決済用カードとしてご登録いただけます。利用登録不要でICOCAポイントサービスをご利用いただけます。
SMART ICOCAの特長 │ ICOCA:JRおでかけネット
マナカも,ウィローカード以外の紐づけに対応してくれたら,それだけでもかなり便利になると思うのだが…残念ながら今のところ,他社クレカ対応ニュースはない。
マナカモバイル化の可能性
マナカは,SuicaやPASMO,ICOCAと異なり,利用人口がそれほど多いわけではない。親会社も東西のJRや関東私鉄ほど強くない。
そういうわけで,マナカのモバイル化(Apple payでの利用)については相当確率が低いと,現時点では考えている。
なんだかんだ便利なICカードがなくなるようなことがあれば,モバイル化もあるかもしれないが,それはたぶん,ディジタルネイティブな世代が管理職に就くときになるだろう。
(そのときに,果たしてマナカが必要なほどの交通機関と人口がいるかどうかは,まだわからない)
まとめ:カード紐付けだけでも対応を!
マナカからモバイルSuicaに乗り換えたのは,以下の2点が理由だ。
- 現金チャージの手間を減らしたかったから
- 家計簿をスマートにつけたかったから
参考: レシート整理なし!家計簿アプリ「zaim」でスマートな支出・収入管理をめざす
名古屋地区(特に名古屋市営地下鉄・バス)の利用が多い自分にとって,モバイルSuicaの利用は必ずしも「おトク」ではない。むしろ,マイレージポイントが貯まらないので,若干損をしているともいえる。
その損に目をつぶっても,上記1および2の理由から,モバイルSuicaに乗り換えたのだ。それ以外に,強い動機は特にない。
もしも,名古屋地区でポイントを優遇して付けてくれる「モバイルマナカ」なるサービスが登場すれば,はりきってマナカへ戻るつもりだ。
モバイル化まではいかないまでも,他社クレジットカードによるオートチャージが実現してくれれば,
- チャージの手間が省けて
- 家計簿の記録を(クレカ経由で)自動化できる
わけなので,マナカへ戻る動機にはなりうる。
*
名古屋市交通局さん,いかがでしょうか…?
おわり。
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