ふだんJR東海管内に住んでいて
用事やツーリング,旅行などでJR西日本管内に行くと,驚くことがある.
「まだこんな古い電車が走ってるんだ…」
まだ乗車したことがなかった草津線も,そんな古い車両が幅を利かせる路線のひとつ.
関西本線キハ120系から草津線の113系へ,思いつきの輪行記.
関西本線・草津線|亀山→柘植→手原
名古屋から国道1号線を自転車でひた走り,陽が沈むころに亀山についた.
亀山から関西本線で輪行して名古屋へ帰るつもりだったのだが...
日常から遠く離れた「非日常」に来ると,日常からの反動でそのまま「非日常」に居座ってしまいたくなる.
亀山駅前で輪行準備しながら「1泊する用意はまったくしていないけれど,近くにホテルがあれば泊まってもいいかな?」と思えてきた.輪行準備を終えてBooking.comを開き,地図で空室を検索.
どうやら,栗東の方にルートインの空室があるようだ.しかも安い.
そうとわかれば話は早い.関西本線は柘植方面の列車に乗るだけだ.
関西本線|亀山→柘植
亀山では,奈良方面の列車待ちが30分ほどあった.桑名で休憩してから30km以上,無補給で走ってきておなかが空いていた.出発を待つ間に,亀山駅近くのセブンイレブンでおにぎりを買ってきた.昼間は夏用アンダーでも快適な陽気だったが,陽が沈んで30分経つともう肌寒さを感じる.季節はゆっくりだが,着実に進んでいるんだなあ.
さて,JR亀山駅に戻って,ホームに入る前に写真を一枚.列車の発車標だ.ここはJR東海管轄の駅ということで,発車標はJR東海のものが使われている.それにしても味気ないというか,無駄がないというか.さっぱりしててJR東海らしいよね.
亀山駅からは関西線と,津・伊勢・鳥羽・新宮方面の紀勢線が延びる.夕方~夜の時間帯の列車は,各方面の列車が似たような時間に出発していくダイヤが組まれているようだ.
これから乗車する関西本線奈良方面は,JR西日本の運行区間で,1時間に1本ほど.一方,亀山以東の関西本線は,毎時2本程度が運行されているようだ.本線の途中駅ではあるものの,ここ亀山を境に,会社とともに運行頻度も変わるわけだ.
*
改札を通過して,重たい自転車を担ぎながらホームへ降りる.広いホーム,複数本並ぶ線路,街の規模こそそこまで大きくないものの,亀山駅は立派なものだ.
改札を通るとき,駅員室から中の様子が見えた.ベテランの駅員さん1人と,新人さんと思しき駅員さんがお2人おられた.まだ入って間もないといった感じで,駅の放送もたどたどしかった.ふだん耳にする駅の案内放送が,いかに流暢で上手かを実感する.
しばらく待っていると,紀勢線下り方面からキハ25系が入線.
ほぼ同時に,関西本線奈良方面からキハ120系がディーゼルエンジンの音を響かせながら入線.静かだったホームは,ディーゼルサウンドで賑わう.
関西本線を走るキハ120系は,2両編成ワンマンでの運転.
亀山以西は非電化単線.ここから西は,一気にローカル線の雰囲気が出てくる.
列車に乗り込んで,一息ついて,開いていたドアから車外をのぞくと,青色の制服を着たJR西日本の乗務員さんが,乗り遅れていない人がいないか確認している.すぐにこちらを向いて「もう出発しますよー」と関西弁で諭された.慌てて車内へ首を引っ込める.
出発と同時に,派手なエンジン音が響く.
外が暗いから余計に,エンジン音が目立つ.
関西本線はあまり線形がよくないのか,それともキハ120系の性能のせいなのか,とにかく揺れる.本線とは思えないくらい揺れる...(笑).自転車が倒れそうで怖かったので,草津線の乗換駅となる柘植まで,立ち乗りで自転車を支えることにした.
ただでさえ揺れるのに,駅間が長くて飛ばすもんだから,なかなかの乗り心地.面白いけど,乗り心地がいいとはいえない?キハ120だった.
*
関西本線(奈良口)の乗車記録は以下の記事をどうぞ.
草津線|柘植→貴生川→手原
草津線にのりかえて草津方面へ向かうために,柘植駅で下車.
のりかえ時間は数分.写真を撮る間もなく草津線の電車に乗り込んだ.
使用車両は抹茶色の113系.えらい長い編成だな~と思いながら乗り込んだが,あとから8両も繋いでいることが判明した.しかし車内は,8両編成も必要とはとても思えないほどの乗車率だった.コロナのせいなのか,普段からこれくらい空いているのか,よくわからないが,8両も繋ぐ必要はあるのか・・・?
113系8両編成のうち,前側4両は転換クロスシートに換装されていた.一方,後ろ側4両は国鉄の雰囲気が色濃く残る,ボックスシート.
*
コンプレッサの音,重たいジョイント音がいい.
東海エリア在住の音鉄にとっては,国鉄電車は至高の贅沢.
ただ,草津線はダイヤにゆとりがあるのか,そこまでスピードを出すことはない.したがって,国鉄車両特有の爆裂モータ音は,ほとんど聞かれることがなかった.ちょっと残念.
途中,貴生川(きぶかわ)駅で6分ほど停車.反対列車を待ち合わせる.下り線の発車案内には「京都」行列車が案内されていた.てっきり草津線内完結の列車ばかりかと思っていたが,東海道線を京都まで直通する列車もあるようだ.
貴生川駅は,「信楽高原鉄道」ののりかえ駅.信楽高原鉄道の列車が来ないかな~と思って待ってたけど,そんなタイミングよくは来てくれなかった.
滋賀,岐阜,三重には,ローカル私鉄がたくさんある.信楽高原鉄道も含めて,名古屋にいる間にちょっとずつ乗っていきたいな.
停車している間に113系の写真を撮影.
草津線を走るのは,抹茶色の113系.この顔は,JR東海管内ではまず見られない.しかし,JR西日本管内ではまだまだ現役バリバリで走っている.よく言えば「古い電車を大切に使う」,悪く言えば「ケチって古い電車を走らせている」わけだ.
まあ,ちゃんと走るんだし,鉄道ファンにとっては古い電車が頑張っている姿を見るのは楽しいから,国鉄形が現役でもいいんだけど.ふつうの人にとってみれば,それは新しい車両の方が快適なわけで.しかも,そういう普通の利用客が大半なわけで.だとすれば,やっぱり古い電車もどこかで見切りをつけて,新しい車両に更新していく方が,乗客にはやさしいような気がする.
JR西日本の中でも,広島地区では「末期色」と呼ばれる車両が,ようやく最新型に置き換えられ始めた.しかしながら,山陽本線岡山・山口地区や山陰地区では,まだまだ大量の国鉄形車両が淘汰されずに生き延びている.そしてこの草津線も例外ではない.しかも,今回乗車した編成は,なんと半分がクロスシートに換装されているではないか...!113系は,おそらく草津線ではもうしばらく走り続けるのだろう.
JR西日本から国鉄形がいなくなるのは,いつになるのだろうか.山陰地区のキハ40なんて,置き換えられる雰囲気がまったくもって感じられないが...どうなるんだろう?
*
そんなことを考えながら,草津線を西へ.
途中の駅で,2本の列車と交換した.1本はこれまた国鉄形117系.もう1本は,京都まで東海道線に直通する221系だった.この感じだと,東海道線に直通する国鉄形もあるっぽい.実際,京都駅に行ったら抹茶色の117系が停まっているのを見かける.
*
草津駅の一つ手前,国道1号栗東インター近くの手原駅で下車.ほんとうは終点の草津まで乗りたかったけれど,ホテルの最寄りが手原駅だったので,こちらで降りた.また今度,東海道線草津駅から貴生川あたりまで乗りに来よう.
手原駅にはこんな看板があった.
車内のようすからも感じたが,利用者はあまり多くないようだ.本数は結構多い方だと思うけど...どうなんだろうか.
今日のお宿「ルートイン草津栗東」
駅前で寒さをこらえて爆速で輪行解除して,ホテルへ...
向かう前に夜ごはん!
国道1号栗東インター近くのラーメン屋.
背脂ラーメンと半チャーハンセット.駅前で輪行解除するときにすっかり冷えてしまった身体が,おいしいラーメンでポッカポカになった.
ごちそうさまでした.
*
今日のお宿は,ホテルルートイン草津栗東.
今年10月に新しくできたばかりということで,ピッカピカだった.
できたての大浴場で,ゆっくり手足を伸ばしてあったまる.
これにて今日はおしまい.
明日はどうやって名古屋へ帰ろうかな.
まとめ:信楽高原鉄道に乗ってみたい
以上,草津線乗車の記録.
名古屋から亀山へ来るときは,草津線に乗る予定なんて全くなかったのだけれど,
旅先まで出てくると,その旅先に身を置いてしまいたくなるのは,旅人の性.
そして,旅先で出会った未乗路線に乗りたくなるのは,乗り鉄の性.
今回,草津線に乗ったことで,途中の貴生川から延びる信楽高原鉄道線に乗りたくなった.
また一つ,旅の目的地ができたぞ.