【JR東海】特急型車両の貫通型先頭車の顔が好きだ

JR東海の在来線を走る特急列車は,その列車名に「ワイドビュー」の冠詞が付されている。これは,使用車両の窓が大きく開けており,広い展望(ワイドなビュー)が楽しめることから付けられていると考えられる。

特に「ひだ」や「しなの」は,そのワイドビューを得るために,非貫通型先頭車の形状が普通列車用車両と異なっている。もちろん,この独特な先頭形状はかっこいいのだが・・・自分はどちらかというと貫通型先頭車の顔が好きだ。特に「ひだ」に用いられているキハ85の貫通型先頭車は,ヘッドマークがヘッドライトの中央に配置されている。これは,国鉄型特急気動車と似た雰囲気をもっている。このヘッドマークの配置が,いかにも「特急列車」らしくて好きだ。

今回は,そんなJR東海特急型車両の貫通型先頭車の写真を集めてみた。

JR東海 在来線特急車両の貫通顔特集!

383系特急形電車

まずは,中央西線を走る383系特急形電車

現在は,名古屋⇔長野間の特急「しなの」として活躍している。上り(名古屋)方先頭車が貫通顔,下り(長野)方先頭車が「ワイドビュー」の非貫通顔となっている。気動車とは異なり,編成がかちっと決まっている。附属編成による特殊な組成の場合を除いて,貫通・非貫通顔の向きは変わらない。

貫通顔の方は,「しなの」幕が左下に設置されている。貫通窓に幌はなく,扉の開閉部のみ。その下に連結器が備えられている。

ヘッドライトは,上部2つと下部2つ。下2つのヘッドライトは,上辺が長い台形となっている。内側にフロントライト,外側にテールライトがついている。

松本駅に入線する383系。塩尻以北はJR東日本管内となり,E353系「あずさ」と同じ舞台で活躍中。

383系は,よく知られているように,制御振り子車両だ。ゆえに,車両下部が絞られたような形状となっている。これは,同じく振り子車両のJR四国8000系などで見られる。同じJR東海でも,振り子・車体傾斜を搭載していないキハ85系などと比較すると,車両下部の絞りがよくわかる。このシュッとした形状が,いかにも速そうで,特急列車らしくてかっこいい。

定光寺駅を下り方面へ走り去る。カーブの多い中央西線を,振り子全開で駆け抜ける。

先頭は白色塗装が施されている。ボディにまとったラインは,JR東海のコーポレートカラー。細すぎず,太すぎず,スマートなラインがかっこいい。

長野駅では,上下の「しなの」が並ぶ。篠ノ井・名古屋方の貫通顔を2編成見られる。
名古屋駅に入線する383系。基本的には10番・11番ホームに発着する。
篠ノ井駅に入線する383系。3桁の編成番号が付番されている編成は,多客期増結用の附属編成。両側先頭車が貫通顔となっている。

ちなみに,383系の附属編成(4両:100番台)は,長野方先頭のグリーン車(クロ383)が貫通顔となっている。

したがって,附属編成のうち,4両である100番台が長野方先頭に来る場合,長野方先頭車が貫通顔となる。これは結構レアなケースと考えられる(自分はたぶん,見たことがない!)

383系(JR東海)

乗車して景色を楽しむなら,やっぱりパノラマグリーンがおすすめ。

キハ85系特急形気動車

つづいて,キハ85系特急形気動車

キハ85系は現在,高山本線「ひだ」および紀勢本線「南紀」として活躍している。

先ほどの383系とは異なり,気動車であるゆえ編成組成の自由度が高い。特に長大編成においては,先頭車がいくつも連なる,いわゆる「変態増結」が見られることも多い。「南紀」は編成が短縮されたため見ることは少なくなったが,「ひだ」では多客期においてまだまだ「変態増結」が健在。

そんな「変態増結」の要となる,貫通型先頭車は,通路部に幌が付いている。そして,両側ヘッドライトの中央に,ヘッドマークがある。これは,かつての国鉄型特急と同じ位置だ。いかにも特急列車らしくて,かっこいい。

名古屋駅にて出発をまつ,特急「南紀」。

足回りは,383系よりもややごちゃごちゃとしている。これは気動車特有のものだろうか?ホースは,燃料とかブレーキ管とかだろうか。スッキリした足回りもいいけど,ごちゃごちゃしている足回りも,気動車らしくていい。

383系より,やや「しもぶくれ」た顔をしている。

非貫通顔の「ひだ」と貫通顔「南紀」の並び。電化が進んだ都会の鉄道駅において,2編成の気動車特急が並ぶ光景は壮観だ。出発時には,煙と轟音をまき散らす。この光景は何度見てもしびれる。

非貫通顔と貫通顔の並び。先頭形状は全く異なる。

373系特急形電車

最後は,373系特急形電車

この形式は,身延線特急「ふじかわ」や飯田線特急「伊那路」として走行するほか,東海道線普通列車やホームライナーとしても走行する。特急「東海」や快速「ムーンライトながら」,東京乗り入れの普通列車,また,臨時列車として「飯田線秘境号」や中央西線急行「中山道トレイン」などでも走行実績がある。

これだけ幅広い運用に使える特急型電車は,全国探してもなかなか無いのではないだろうか。まさに「汎用型電車」のお手本のような車両だ。

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この電車は,前出の2形式と違い,上り下り両側の先頭車が貫通型となっている。

静岡駅に停車中の「ふじかわ」。富士駅まで東海道線を走ったのち,身延線に入り,甲府まで走る。
沼津駅に停車中の「ホームライナー浜松」号。
特急・快速運用はもちろん,東海道線の普通列車としても走る。JR東海自慢の「汎用型車両」ここにあり!

飯田線特急「伊那路」の写真は持っていなかった。今度,18きっぷ旅行でも使って撮りに行こう。

まとめ

今回の記事では,JR東海在来線特急型車両の貫通顔を取り上げた。他社と比べると「地味」な印象のJR東海在来線車両。しかし,こうやって貫通顔を眺めてみると,特急列車らしい「風格」がある。地味でも結構,速く快適に乗客を運ぶことを目指しているのが伝わってくる。これぞまさに「特急列車」だ。

貫通顔がかっこいいと書いてきたが,もちろん非貫通顔にも良さはある。もし先頭の座席に乗車するなら,間違いなく非貫通顔の方がいい。すばらしい眺望を楽しめるからだ。

外から見るなら貫通顔,実際に乗車するなら非貫通顔。

みなさんは,貫通型と非貫通型,どちらの顔が好きだろうか・・・?

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【今回紹介した列車の乗車記】

【振り子全開!】しなの3号自由席で名古屋から長野へ|在来線で北海道をめざす旅①

富士川沿いをのんびりと~身延線ふじかわ5号で甲府へ【秋の現実逃避旅③】