鹿児島から阿蘇経由で北九州方面を目指す春九州自転車旅。
5日目の昨日、この旅のメインディッシュ1つ目「阿蘇外輪山ミルクロード&大観峰」を満喫した。
そして6日目は、阿蘇山地を抜け
くじゅう連山を越えて湯布院・別府まで走る。
もちろん、ただの山越えではない。
絶景ドライブロードとして名高い「やまなみハイウェイ」を越えて行く。
ミルクロードにも負けない、絶景の連続。
くじゅう連山の絶景!やまなみハイウェイ
地震で倒壊した阿蘇神社参拝
前日は阿蘇市内宿泊。
朝ちょっと早めに起きて、宿近くにある「おべんとうのヒライ」隣接の食事処で朝食。
ツーリング中は大量にカロリーを消費するから、どうしてもこういう食事(ハイカロリー)になってしまう。まあ美味しいからいいけど。(500円、安い)
今朝はゆうちょでお金を下ろしたかったので、ゆうちょATMが開く9時までやまなみハイウェイには入らず。それまでは阿蘇神社周辺を見て回ることにした。
阿蘇神社は立派な楼門で有名な神社。
熊本地震が起こる前は、こんな立派な楼門が見られたらしい。
画像引用元:阿蘇神社 – トリップアドバイザー
残念ながら熊本地震の激震で、楼門やその他いくつかの建造物が倒壊してしまった。
実際に訪れてみると、工事中で周りは柵で覆われ
かつて楼門があった場所からの参拝はできない。
もちろん楼門の姿は見当たらない。
ただ、仮設のルートで参拝はできるようなので、手水舎で清めて左へ進む。
すると、目の前に現れたのは雄大な阿蘇山。
朝の柔らかい日差しを浴びて、少し霞みがかっている。
昨日見た、傾いた太陽に照らし出された、あのクッキリとした姿とはまた違った雰囲気だ。
境内には仮設の参拝所が、こぢんまりと設置されていた。
これからの旅の無事と、阿蘇地域の復旧を祈願しておく。
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阿蘇神社には隣接する商店街があった。
朝早い時間ということで、商店街のお店はClose中。ひっそりとした雰囲気だ。
春の桜の時期(3/31)には「お座敷商店街」という催しが開かれるよう。
商店街に植えられた桜を見ながら、みんなで集まってワイワイ
楽しそうだ。
このあたりは「水」も有名。
商店街のいたるところに、ちいさな水車や美しい池があった。
透明な水が奏でる水音に癒やされながら、商店街をゆっくりと歩いた。
そうこうしていると、ちょうどいい時間になった。
やまなみハイウェイ入口下の、郵便局へ向かう。
途中にあった農道。
目前には昨日走ってきた阿蘇外輪山が静かに横たわっている。
あの上を走ったなんて信じられないよなあ・・・
枯れ草の高原|春のやまなみハイウェイ
郵便局で財布を潤して、いよいよ県道11号線(別府一の宮線、通称:やまなみハイウェイ)へ。
別府まで90kmの青看板。もうそんなんところまで来たのか!という感動と、まだ90kmもあるのか・・・というサボりたがりな自分の感情が交差する。
ここからしばらく(~瀬の本付近まで)登坂。
やまなみハイウェイ登坂中… pic.twitter.com/VxuXEC6s30
— タケ|自転車と鉄道 (@take26confi) 2019年3月14日
後ろには阿蘇五岳、そして前にはくじゅう連山が迫る。
大スケールの山に挟まれながら、ゆっくりゆっくり登っていく。
今日も獲得標高は1000mを越える。膝の様子を見ながらのんびり行こう。
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瀬の本高原までは、ゆるやかな登坂が続く。
昨日走った、ミルクロードとの合流地点付近を過ぎると
平坦基調に。
ミルクロードよりもアップダウンが少ない。
周囲の景色は、開放感のある枯れた草原。
空が近い。
今日も標高が高いところを走っている、ということを全身で感じる。
素晴らしい景色で、日頃のストレスは霧散していく・・・!
ところどころに「野焼き」の跡がある。
毎年3月中旬~下旬にかけて行われる、阿蘇地域の伝統行事だそう。一面の草原を守っていくために、これからも大切に続いていってほしい。
「ミルクロード」のような開けた景色は、徐々に終わりを迎える。
目前には「くじゅう連山」の姿が大きくなってきた。
写真奥がくじゅう連山。
阿蘇山とはまた違う形だ。
で、この写真の右側にはちょっと面白いものを発見。
休憩がてら自転車を置いて右の方へ行ってみると・・・
谷を挟んで反対側の丘にかけて、びっしりと木のオブジェが並んでいる。
いったい、何体ぐらいいるんだ・・・?
オブジェは一つ一つ丁寧に造られている・・・?
(そんなでもないやつもあった)
このオブジェたちの脇には、ちょっとした果物売り場のようなものがあった。
そこを運営されている方が造ったのかも。それにしてもすごい数・・・
動物もいくつかの種類がいた。
シカさん
イヌさん
うさぎさん etc……
ここはいったいどういう場所なんだろう。観光農園?
まとまりのない、観光農園(ということにしておく)でしばらく癒やされた。
熊本_大分県境を越えて山の中を走る
平坦区間を走りきると、「瀬の本高原」にたどり着く。
瀬の本高原の交差点で日田・竹田方面を結ぶR442と交差。
その先に県境がある。
いよいよ大分県に入った。待ってろ別府!
県境を越えても、まだまだ「やまなみハイウェイ」は続く。
ただ、瀬の本高原までとは雰囲気が変わる。
高原からさらに「牧ノ戸峠(1330m)」への登坂、周囲は木々で覆われ斜度がキツくなる。
高原から峠の頂上までは、平均斜度5%ほどの坂が続いた。
景色が見えないのは結構ツラいけど・・・でも牧ノ戸峠までは7kmほど。
終わらない上り坂はない・・・そう言い聞かせてゆるゆると頑張る。
カーブの出っ張りにあった展望台にて。
久しぶりに視界が開けたぞ。
あんなに高く、小さく見えたくじゅう連山も
ここまで登ってくるとかなり大きく見える。山と肩を並べられた気分、登坂の終盤にくじゅう連山から元気をもらった。
標高1330m「牧ノ戸峠」雪が残る寒さ
展望台からさらに登ると、路肩から下には白い雪が現れ始めた。
乱れた吐息は白く見えるようになっている。
標高は1000mを優に超えている。寒いわけだ。
斜度が緩み、視野が開けてきた。
ようやく頂上の「牧ノ戸峠」に到着(標高1,330m、阿蘇くじゅう国立公園)
気温はおそらく0℃前後だったと思われる。
駐車場の近く、レストハウスの周りには降り積もった雪が溶けずに残っていた。
牧ノ戸峠はくじゅう連山登山口のひとつ。
登山客の車で駐車場はいっぱい。
レストハウスにもアイゼンや防寒具など、最低限の登山用品が陳列されていた。
多少、食べるものもあったけど軽食程度。
長者原や飯田高原まで下った方が、しっかり食べられそう。
そんなわけで牧ノ戸峠レストハウスでは食事をとらなかった。
出発前にトイレに行ってみた。
稼働率、低い・・・
大個室もひとつだけだったし・・・
登山口なのに大丈夫なのか?
くじゅう連山をバックにダウンヒル
お腹が空いていたので、牧ノ戸峠をささっと出発。
えびの高原からのダウンヒル同様、ULダウンと防風グローブを着用。
しかし、ここの寒さは段違いだった。。。
頂上からしばらく、路側帯より外側は凍結してるし雪も残っている。
日陰のカーブはとにかくスピードを落として下る。スリップがコワかった。
サングラス、ネックウォーマー(鼻まで)も着用していたが
身体で唯一露出している耳がめちゃくちゃ寒かった。
ダウンヒル終わったらちぎれてしまわないか心配だった。
ダウンヒルの途中、背後にくじゅう連山が間近に見えた。
よく見ると阿蘇山とは全然形が違う。
自然が作り出す地形は、一つとして同じものはない。
その後ダウンヒルとともに標高が下がり気温が上昇。
かじかんだ手足の指も感覚がしっかりしている。
耳はちぎれていなかった。大丈夫だ。
レストハウス「やまなみ」に到着。
さっきは間近に見えたくじゅう連山、だいぶ離れて見える。
このダウンヒルでかなりの標高を下ってきたのがわかる。
レストハウスやまなみ、くじゅう連山の麓らしく、登山グッズも取り扱う「モンベル」が1階に出店していた。
レストランは2階にあったが、メニューにそそるモノが無かったし値段もちょい高めだった。
まだ走れそうな感じだし、下りきった先にある「飯田高原ドライブイン」まで行ってみることにした。
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下りなのでさらっと到着。
「飯田高原ドライブイン」
本日は定休日
あっ・・・(嘘だろ)ついてなさ過ぎる。。。
昼食はお預けとなってしまった・・・
九重”夢”大吊橋_湯布院経由で別府へ
日本一!九重”夢”大吊橋
昼食を食べ損ねた僕は、やまなみハイウェイから左に折れて「九重”夢”大吊橋」へ向かった。
「やまなみハイウェイ」はここまで。
本当はドライブインで昼食を食べてから行きたかったけど。しかたない。
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数㌔下って、九重”夢”大吊橋に到着。
もう腹が減ってたまらんぞ。。。
吊り橋を渡る前に、真っ先にハンバーガー屋さんへ向かった。
ハンバーガーだけじゃ足りなさそうだったので、まずはホットドッグから。
ちょっとマスタードが多すぎるか?ピリッと辛い。
ようやくありつけた昼ごはん。味わっていただく。
メインは九重”夢”大吊橋にちなんだ「夢バーガー」。
このボリューム、夢が詰まってる!
軽くパンでつぶしてかぶりつく。
たっぷり入った具材が、特製のソースに絡んで美味。
幸せ…
ハンバーガーを味わって、すっかり満足してしまった。
いかんいかん、肝心の吊り橋を渡らねば。
この吊り橋、最近完成した新しい名所だけど
高さ、長さともに十分すぎる吊り橋。
長さは390m、中心部の高さは地上から173m。
はっきりいって、かなりの高度感。震度7の地震にも耐えられる頑丈な設計(公式HPより)らいしけど、それでもここまでの高さになると、横から見ているだけでもコワい。
コワそう、と思いながらもやっぱり渡ってみたい。
ということで入場券を買って、いざ。
橋は左側通行。真ん中は金網の蓋がされていて、下が透けて見える・・・
おそるおそる歩く、左手は無意識に橋の手すりをつかんでいる。
下を覗くと、ひゃ~・・・こりゃダメだね。
ときどき吹き寄せる風は爽快だけど、橋がぐらぐら揺れるのはコワい・・・
橋の真ん中あたりに差し掛かったところで、警備員のオッチャンに話しかけられる。
「自転車かね?」
このあとしばらく2人で、それまでのやまなみハイウェイのことなど話した。手すりに左手をかけたまま。
話は聞いているようで聞いていないような、そんな感じのまま渡り終えた。
反対側から、橋を眺める。
近代的。外から見ると圧倒的な安心感が滲み出てるのはよくわかるんだけど、でも、渡るとコワい。
帰りは、手すりを持たずに。大丈夫だ、イケる。
やっぱり一度通ると、高度感は幾分薄れる。
それでも中央付近で風が強めに吹くと、身体中が縮み上がる。
そこでまたさっきの警備員さんに話しかけてもらった。
「これからドコまで?」
僕は、今日はこれから別府まで向かいます。と応えた。
「そうか、それじゃこれからまだ50kmぐらいはあるね。別府手前の坂はヘアピン続きの急坂だから、てぇへんだ・・・頑張ってください」
は、はぁありがとうございます(別府までまだ急坂があることをたった今知った)
警備員さんと別れる。
ちなみに橋の下には川が流れている。
何本かの滝がそこへ向かって流れ落ちていた(コワかったけど頑張って撮影した)
九酔狂→(R210)→水分峠→別府
吊り橋を楽しんだら、あとは別府までひたすら走るのみ。
「やまなみハイウェイ」には戻らず、九酔狂を下る。
九酔狂にある連続カーブは「十三曲がり」と呼ばれ、急勾配と急カーブが断続的に続く。
吊り橋側からだと下り、ラッキー。
県道ではあるが、道路状態はそこまで良くなく幅員も狭かった。
坂を下りきったら、いくつかの村の中を縫うように走り抜ける。
県道の突き当たりまで来ると、大分(湯布院・別府方面)へのR212と分岐。
湯布院との境・水分峠まではゆるやかなアップダウンが続く。
国道ということもあり、交通量は多かった。
峠にあるトンネルを越え、下っていく。
右側にまちなみが見えてくる、湯布院だ。
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湯布院と別府はほとんど目と鼻の先な気もするが、
その間には、もう一つ山が鎮座している。
由布岳・鶴見岳南麓の登り(県道別府一の宮線)。
やまなみハイウェイとは趣がずいぶん異なるけど、これも結構な絶景ロードだと思う。
うねうねとした山に巻き付くようなヘアピンカーブが、はるか上まで見渡せる。
これから登る坂が全部見えるのだ・・・
斜度はゆるやかで、蛇行する枯れ草の中を登っていく。
やまなみハイウェイとは違って、道幅が広く交通量が多い。
後ろから来た車のオッチャンに「頑張れよ~~」と声をかけられる。
「アザッス」
ゆったりゆったり登る。
途中にある展望台「狭霧台」から下を見下ろす。
湯布院側から登り始めた道は、こんな感じで蛇行している。
さっきまであんなに下を走っていたのか。
一面枯れ草の道を上り終えたら、いよいよ別府市に突入。
あと21kmは市街地までの下り。
長かった・・・!
夕方になり、雲が出始め日はすっかり陰ってしまった。
ダウンヒルのときはかなり寒く感じた。
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思考停止ダウンヒルで別府市街まで下り終えた。
海沿いの公園から久しぶりの海を眺める。
今日はなんだか疲労の色が濃い・・・別府まで来たことの安心感せいか、ここ連日の登坂のせいか、絶景に圧倒されてしまったのか・・・?
サクッと宿にチェックイン。
ダウンヒルによって冷やされた身体を、宿にある別府のあったかい温泉で温めた。
気持ちいい・・・
宿のお風呂で身体を回復させたら、夜ごはん。
別府と言えば、やっぱりとり天でしょ。
別府温泉近くの商店街にある「やなぎや」でとり天定食。
ラーメン屋さんだけど、とり天もあった。
さっぱりポン酢でいただく揚げたて熱々のとり天が美味!
噛めば噛むほどうまみが出てくる、唐揚げとはまたちがったうまさ。
付け合わせの小鉢もおいしい。
ごちそうさまでした。
宿に帰って、諸々の片付けをして
手帳を書いておしまい。
まとめ:頑張って登れば絶景を拝める
ここ数日、毎日1000m近く登坂していることになる。
霧島、えびの高原、ミルクロード…
登りはキツいけど、天気さえ良ければ必ず良い景色が待っている。
別にレースじゃないから急ぐ必要は無い、1日100km程度の距離ならゆっくり走っても日没までにはたどり着ける。だからゆっくり登って絶景を楽しんで、下りで休めばそれでイイと思う。
旅を始めてから、そういうことに改めて気づいた。
明日は別府を観光して、大分県中津まで走る。
【ざっくり走行データ】