
平日に出張で仙台へ行く用事があった。仙台駅近くでの用事なので,東京から新幹線で仙台へ行くことにした。
東北新幹線には,平日(最繁忙期を除く)に「TRAIN DESK」が設定されている。追加料金なしで,ほかの指定席と同じように予約できる。ふつうに指定席にのるのも面白くないと思ったので,あえて「TRAIN DESK」の車両に指定席をとって仙台へ行ってみた。
TRAIN DESKのコンセプト

「TRAIN DESK」は,ワーク&スタディ優先車両というコンセプトで設定されている。東北・北海道新幹線では7号車,北陸・上越新幹線では9号車指定席を「TRAIN DESK」に割り当てている。
ふつうの指定席であれば,いろいろな客層がひしめくところ,この「TRAIN DESK」では,仕事や勉強をするお客さんをターゲットにしている。パソコンや勉強はもちろん,通話やWEB会議も許容している。前者はまだしも,後者は発声を伴うことから,ふつうの指定席では憚られる(あるいは,控えるべきとされる)。これらをあえて許容する車両とすることで,移動中にも仕事ができますよ,というふうにして売り出している。
ワーク&スタディ優先車両”TRAIN DESK”|JR東日本
ただし,この車両に乗ったからといって,必ず仕事や勉強をしなければならないわけではない。あくまでも,そういう人たちへの配慮がある車両であって,休息や食事は許容されている。ふつうの在来線車両には,ほとんどで「優先座席」が設定されているが,あれが丸々1両分に拡張され,利用対象者が「一人で仕事や勉強(休息)したい人」に変わっているというイメージ。
下り「はやぶさ」をえきねっとで予約
TRAIN DESKの座席は,設定のある列車では,ほかの指定席と同じく「えきねっと」や「指定席券売機」などから予約することができる。グリーン車のように,追加料金はかからない。たとえば今回の出張では,予約が以下の通りとなった。
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列車名:はやぶさ29号(東北・北海道新幹線)
区 間:東京(15時20分)→仙台(16時51分)
設 備:指定席 (TRAIN DESK)
割引等:新幹線eチケ
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「はやぶさ29号」は,東京駅を15時20分に出発する新函館北斗ゆきの下り列車だ。仙台までの所要時間は1時間31分。一仕事するにはちょうどいい時間である。
東京駅から7号車に乗り込むと,出発時点でかなりの乗車率だった。今回は上記のようにE席(2列がけの窓側)を予約していたが,D席(通路側)にも東京から乗客が着席。
TRAIN DESKの雰囲気
乗車を待つ列の前のほうだったので,座席に座ってぞろぞろ入ってくる後続の乗客を眺めていた。普通の指定席と違うのは,彼ら・彼女らの多くが「一人客」であるということ。普通の新幹線の車両では,多かれ少なかれグループ客や家族連れがいるものだが,明らかに「一人客」が多いように見えた。
「TRAIN DESK」という名前からして,サラリーマンや私のような出張客ばかりかと思っていたが,決してそんなことはなかった。上記の「一人客」の多くが,割と普段着というか私服な見た目で,働いているようには見えない。時期的に春休みに差し掛かっているということもあるのだろうが,これは少し意外だった。
そして列車が走り出してしばらくすると,車内がかなり静かであることに気づいた。ふつうの指定席で聞かれるような,グループ客の雑談,子供の泣き声はもちろん,食事のためのビニール袋が発する音まで,静かな環境を崩すような音が小さい。
すでに書いたように,この車両は,勉強や仕事,WEB会議や電話を許容する車両として設定されている。事前の予想では,割と忙しそうに電話したり会議したりする人もいるだろうと見込んでいたのだが,少なくともこの列車(昼過ぎに東京をでる列車)に限っては,そんなことはなかった。やはり時間帯,あるいは,下り列車という性質のためだろうか。私も含めて,静かな環境を活かして,休んだり本を読んだりしている客が多いように見られた。
この状況は,途中,上野・大宮での停車後でも変わらず,仙台までの区間では静粛性が保たれ続けていた。あくまでも私の感覚だが,在来線の普通列車グリーン車か,それ以上の静粛性だった。新幹線のグリーン車に匹敵する静けさとも思った。
このような環境なので,かなり気楽に仙台まで過ごせた。論文も読み進められたし,うたた寝も(いい意味で)捗った。
静かに過ごしたい一人客に便利
ちなみに帰りの「はやぶさ」は土曜日だったので,「TRAIN DESK」は設定されていなかった。ふつうの指定席とグリーン車(とグランクラス)のみ。予約した指定席では,仙台から大宮まで,近くの席の子どもが騒いでいた。もちろん公共のマナーというものはあるけれど,子どもは騒ぐ・泣くのが仕事なので,しょうがないといえばしょうがない。我慢するのが大人というもの。とはいえ,行きの「TRAIN DESK」があまりに静かで快適だったので,帰りの「はやぶさ」の指定席が,やたらと騒がしく感じてしまった。
「TRAIN DESK」は,表向きは「仕事や勉強に」と銘打っているものの,実際には「静かに過ごしたいけどグリーン車は高い」と感じている乗客にうってつけだと感じた。新幹線に限らず,在来線の特急列車でも,このようなサービスを入れていけば,案外売れるのではないかと思った。
子連れの客は,どうしても子どもが騒いでしまうことに肩身が狭いと思う。上記の帰りの新幹線のお客さんも,周りへの気遣いがあるかどうかはさておき,車内のいちばん端の座席だった。このような乗客向けに,東海道新幹線では,昨年から今年の年末年始最繁忙期に,「お子さま連れ車両」が設定された1。ビジネスパーソンが常連の東海道新幹線では,このようにして家族連れを分けることが,常連客の快適性を上げることにつながる。
逆に,JR東日本の新幹線では,ビジネスパーソンをメインターゲットとしていないからこそ,出張するビジネスマンをターゲットとして分けることができる。
そのようにして設定された「TRAIN DESK」が,じつは一人旅へいったり,静かに出かけたりしたい,いわゆる「静かな客」にも好適だということが,今回の出張での発見だった。
(つづく)
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- JR東海:「東海道新幹線 お子さま連れ車両」,URL:https://recommend.jr-central.co.jp/oyakotabi/fs/(最終アクセス日:2026/03/15) ↩︎
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