東急東横線「Fライナー」特急|横浜→渋谷

8月最初の土曜日に,横浜から渋谷・新宿方面へ出かける用事があった。

ふだんであれば湘南新宿ラインに乗るところだけれど,休みだし,まだ乗ったことのない路線で行ってみよう。

そう思い立って,横浜から東急東横線で渋谷まで行ってみることにした。

横浜駅の地下深くから出発

東急東横線は,渋谷駅から目黒・自由が丘・武蔵小杉などを経由して,横浜へと至る路線だ。今回はこの路線の上り電車にのって,横浜から渋谷へと向かう。

東横線の横浜駅は,みなとみらい線との直通運転のため,2004年に地下化された1。東横線横浜駅の深さは,22 mもあるらしい。そのため,横浜駅から東横線へ乗るには,まずいくつものエスカレータで下へと降りて行く必要がある。

ずいぶん下りたなあ,と思い始めるころに,最後の長いエスカレータがある。このエスカレータを下りきったところで,東急線のホームにたどり着く。

地下深くにある東急東横線 横浜駅のホーム。

ホームは1面2線の島式だ。主要駅にしてはややこぢんまりとしている。1番線は,みなとみらい線:元町・中華街方面(下り線)の列車が発着する。いっぽうの2番線が,今回乗車する上り線だ。

2番線の案内標識を見るとわかるように,横浜駅からは

  1. 東横線(東急)渋谷方面
  2. 副都心線(東京メトロ)池袋方面
  3. 東上線(東武)川越市方面
  4. 西武線(西武)所沢方面

と,4つもの方面へと向かうことができる。つまり,横浜駅を発着する列車は,みなとみらい線もふくめて,合計5路線を直通することができる。

5路線直通の速達種別「Fライナー」

東急東横線をふくむ5路線では,直通列車として,「Fライナー」という速達種別が設定されている。「F」とは,

  • 5路線直通(Five)
  • 副都心(Fuku-toshin)
  • 速達(Fast)

の3つの「F」を含意しているらしい。ちょうど,14:57発のFライナー特急があったので,これに乗ってみることにした。

蛇足ではあるが,関東暮らしの短い人間にとって,このような直通列車はとっつきにくいものである。今回のように,小手指ゆき,と言われても,下調べなしにはどこへ行くか見当がつかないからだ。

京急のように,「品川方面 泉岳寺行き」と,方面と終着駅を併記してくれるとわかりやすくなるのかもしれない。ただ,Fライナーは5路線も直通する。その間には,主要駅がいくつもある。だから,「○○方面」を連ねられず,やむなく「小手指」と,馴染みの薄い終着駅のみ表示していると考えられる。

「接続」の項で案内されている「副都心線内はFライナ…..」という表示から,すくなくとも渋谷経由で副都心線に直通することは理解できた。ただ,その先をどうやって走っていくのか,路線図を見なければよくわからない。

というわけでここでは,Fライナーの車内に掲出されていた路線図を先に示しておく。

東急東横線・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線・みなとみらい線の直通列車路線図。

この路線図にあるように,Fライナーは,渋谷まで東急東横線を走る。そこから,東京メトロ副都心線を池袋まで進んだあと,小竹向原から西武池袋線に入る列車と,そのまま副都心線を和光市まで走る列車とに分かれるということだ。

西武線直通の列車については,池袋線を所沢・飯能方面まで進むことができる。すなわち,横浜⇔渋谷・池袋⇔埼玉間を1本の列車で行き来できるということ。

また,和光市からさらに先へいく列車については,東武東上線を川越方面へ走る。こちらも,西武線と同様にして,横浜⇔渋谷・池袋⇔埼玉とを結んでいる。

このようにして路線図をみていくと,「Fライナー」も例外なく,都心⇔南北関東の各方面をむすぶアクセス列車の1つであるとわかる。

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東急東横線 Fライナー特急

さて,そんな「Fライナー」としてやってきた列車は,ライナー専用列車,などでなはく,ふつうの車両だった。しかも,東急の車両ですらない。具体的には,東京メトロ10000系通勤形電車だった。

この車は,有楽町線・副都心線に充当されている。6月の出張でも乗車した車だ。

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このように,最速達種別とはいえ,車両はメトロのもの。しかも, ワンマン運転だった。JRの「特急」とはずいぶん違う。

乗車するとまもなく自動放送が入った。日本語はJR西日本と,英語はJR東日本と同じ方だった。

車内ドア上のLCDには,種別について案内されていた。この先,西武池袋線へと直通するものの,横浜時点では,副都心線へ直通することのみ案内されていた。副都心線内ではFライナー急行へと種別変更されるとのこと。なお,車内LCDでは,「渋谷・池袋方面」と行先方面が案内されていた。これはわかりやすい。

東急線内は特急として,副都心線内では急行として走る。

ちなみに,「Fライナー」というのは種別の1つであって,愛称ではない。したがって,快速「アーバン」や「ラビット」のように,種別「行先」と呼称するのではなく,Fライナー○○(○○は種別)と呼ばれる。○○は,上述のように,各路線によって異なるので,直通する場合は,見かけ上,種別変更が生じることになる。

Fライナーの乗車率は,横浜を出た時点でロングシートの9割か埋まるくらいだった。土曜日午後の上り線ということで,都心へ近づくにつれ,乗車率は高まっていった。

元住吉では,左手に東急の車両区が見られた。また,右手に都営三田線の車が並走してきた。東急目黒線への直通列車だ。東横線は副都心線と,目黒線は都営三田線と,それぞれ直通運転しているということ。

複々線をしばらく走ってから多摩川を渡り,田園調布をすぎると目黒線が別れて行く。東横線は,進行方向左手に分かれてトンネルへ。

自由が丘駅は東急大井町線ののりかえ駅,中目黒駅は東京メトロ日比谷線ののりかえ駅だ。このように,直通先のみならず,途中の各駅でも,多方面へのりかえられる。そしてこのあたりまで来ると,車内は立ち客も出て盛況だった。高架線を走る列車の左側車窓には,副都心の高層ビル群がよく見えるようになった。

地下化された東急東横線渋谷駅に到着

渋谷駅には定刻通り到着した。横浜からおよそ30分。JRの湘南新宿ラインと大差ない。

横浜駅と同じように,渋谷駅も地下(5階)に移設されている(2013年)。東急渋谷駅の地下化は,副都心線への直通を目的として行われた。地下化工事では,仮設線なし・一夜で地上線→地下線へ切り替えるという離れ業をやってのけている2

そしてFライナーの種別は,渋谷から「急行」に変更された。車外の案内表示には,副都心線直通に代わって,「西武線直通」と表示されていた。また西武線内では,再度「Fライナー快急」へ種別変更されることも案内されていた。

渋谷駅からは「Fライナー急行」に種別変更されて,副都心線を池袋方面へ走る。さらにその先は,西武線へ移り,「Fライナー快急」となる。

今回は,東横線内のみの乗車にとどまったが,今後機会があれば,西武線・東部東上線のほうへもいってみたい。

(おわり)

  1. 東急株式会社:「東急100年史 7章 1998-2004」,URL:https://www.tokyu.co.jp/history/chapter07_2_2/ (最終アクセス日:2025年8月8日) ↩︎
  2. 渋谷文化プロジェクト:「【1】東横線が一夜で地下化!3.15-16「代官山地下化切替工事」を振り返る」,URL:https://www.shibuyabunka.com/special/201403/part1.html(最終アクセス日:2025年8月8日) ↩︎

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Rin Suigetsu, Ph.D.

鉄道を主とした一人旅の見聞録を書いています。特急列車と国鉄型・凸型の電機が好き。ときどきロードバイクにも乗ります。写真はPENTAX K-3iiiで撮っています。博士(工学)。

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